Geo API

デベロッパー交流会

今日はGoogleデベロッパー交流会「第7回 Geo API」に行ってきました。前回(4月24日)の「第6回 Android」に引き続きの参加です。何となく概要は知っているけど、実際に手を出したことがない、ということで、そういう勉強の意味で行くにはとてもいい勉強会ですね。今後も続けていただきたいです。

14:00-14:45 基調講演

まずは、パメラ・フォックスデベロッパープログラムエンジニア)さんの基調講演。Googleが提供するGeo APIについて人取りの説明がありました。
Google Geo APIとは、上記Google Japan Blogの説明によると、以下のようなAPIが挙げられています。

しかし、今回取り上げられた内容は、Google Maps API(javascript)と、Static Maps API、そしてFlash APIでした。MappletsとかGoogle Earthって個人的に使っていない分野なので、それはそれで内容が絞れていて良かったです。

Google Maps API(Javascript)の紹介

まず、Google Maps API(Javascript)を使ったいろいろなサービスが紹介され、その中で面白そうだったモノをまとめてみます。

Google Static Maps APIの紹介

つぎに、Static Maps APIが紹介され、そのサンプルが紹介されました。
Static Maps APIとは、HTMLコードだけで画像のように扱えるGoogle Mapsインターフェイスで、ケータイなどJavascriptが使えない環境でも使える、というわけです。
また、読み込みの早さが売りになります。そして、Javascriptのフル機能版と併せることでユーザーの待ち時間を短縮させることもできる、と紹介されていました。

  • GLOTTER .. 下部のサムネイルにStatic APIを使用
  • yelp .. 店ページの右側にある地図はクリックでJS版に切り替わる

Google Maps API for Flashの紹介

最後にFlashAPIの紹介でしたが、パメラさんが再三言っていたことは、javascript版よりこちらの方が高速だということ。これは重要。javascript版かFlash版かどちらでも開発できる環境にあるのなら、Flash版を選ぶべき、ということですね。
あとは、ベクターグラフィックスと併せやすいとか、バイナリデータストリーミングがやりやすい、とかそういうことでした。

14:45-15:05 休憩

20分の休憩でした。
パメラさんはエンジニアらしいのですが、プレゼンはGoogle Docsをフルスクリーンで見せている感じで、サンプルを見せるブラウザとしてChromeをフルスクリーンで使っていました。

15:05-16:30 パネルディスカッション

休憩を挟んだあとはGoogle社内の人、および社外の人を壇上に迎えてのパネルディスカッション。自己紹介時に紹介されていた内容もメモしておきます。

Google Maps APIをビジネスで使うに当たって

ウェブサイトによると「Maps API は、非営利であればどのウェブサイトでも無償で利用できるベータ サービスです。詳細については利用規約をご覧ください。」となっているが、どういうサイトならGeo APIを使っていいのか?」という質問が勝又さんから出てきた。これに関して石原さんから重要な訂正が出てきたのでこれは明記して記憶しておきたい。

どうやら、この日本語は誤訳であるようです。英語版では "The Maps API is a free beta service, available for any web site that is free to consumers. Please see the terms of use for more information." となっていて、ここで言うところの "that is free to consumers" とは、「誰でも望めば自由にアクセスできる」ということを意味するらしいのです。
具体的に言うならば、「地図上にデータを登録するのが有料サービスだが、閲覧は誰でも可」というサービスはOKらしいです。「会員しか閲覧できないが、誰でも登録できる会員サイトはどうなのか?」という質問に対してもOKとのこと。「誰でもアクセスできる前提」があれば大丈夫なようです。
パメラさんによると、FAQの方でいろいろ書かれているのでそちらを参考にして欲しいとのこと。また、マップデータプロバイダと新しい契約を結んでいる最中だが、近いうちにもっとフレキシブルに使えるようになる予定もあるらしいです。

開発環境について

様々な話の流れから開発環境について、Google社内にはすごいデバッガとかあるの?という質問が出てきました。
返ってきた回答は「いや、そんなのない。emacs(か他のテキストエディタ)とfirebug使っています」という人がほとんど。
FirebugとはFirefox上でデバッグできる環境らしいです。石丸さんもパメラさんもGoogle社内の人も使っているらしく、しかし、私は知らなかったので、これを機に近い将来、試してみることにしましょう。

安藤さん、石丸さんが盛り上がってたのがGPSを使ったアプリを開発するときは、実際に様々なGPSデータを使ってデバッグするのが大変、ということ。確かに、GPSエミュレータ、みたいなのがあると便利かもしれないですね。

Google Maps APIのこれまでと今後について

石丸さんが、「openInfoWindowHtml()という関数にmaxURLというパラメータがあり、便利に使っていたのだが2.9で無くなってしまい、困った。」とGoogleさんに投げかけました。しかし、これはリファレンスには載ってなかった機能らしく、そういう機能はバージョン間でサポートするとはかぎらない、とパメラさんが名言。ロードマップが欲しい、という安藤さんの言葉にも「それは公開しない」と名言。まぁ、移り変わりが激しい業界だし、そういう最先端のAPIだから、しょうがない気もしますね。
また、issue trackやchange logはウェブに上がっているのでそれも見て欲しいし、要望は出して欲しい、とのこと。
ところで、この話の流れで知ったのですが、Google Maps APIには、APIのバージョンを指定できる機能があるらしいのです。つまり、最新バージョンを使わなくてもいいからAPIを使ったサービスを安定させたい、というときには超便利な機能ですね。こういう発想はウェブAPIとかやってないと出てこないなー。

要望・質問

安藤さんからの要望として「古い地図をアーカイブしておいて欲しい(古地図ということではなくて、ちょっと前のを例えば都市開発などで使いたい)」というのが上がったが、確かに便利そう!Google後藤さんからは「ライセンスの問題がありそうだが、チャレンジな内容なので興味はある」という言葉が聞けた。
参加者からの要望として「測地系の問題」が挙げられた。測地系とか門外漢なので、用語すら分からなかったが、なかなか面白そうな内容でした。

断片でメモしておくと次のような感じの会話だった。日本と世界では測地系が違っている。日本独自の測地系を使って自社サービスを作ってきたものをGoogle Mapsに置き換えようとしたら、Google mapsは世界標準の測地系だった。これはなんとかGoogle側で何とかできないか?という質問。回答としては「そういう変換は外側でできるはずなのでそちら側で対処して欲しい。実は数年前まで日本部分は日本独自の測地系を使っていたのだが、逆に世界標準に合わせるためにシステムを移行した経緯がある」とのこと。

会場について

最後に会場について書いておきます。
前回は六本木ヒルズ内のアカデミーヒルズでやったわけですが、今回は場所が変わって品川の東京コンファレンスセンターというところでした。前回同様、無料のイベントにもかかわらず同時通訳と飲み物が用意されていたのは素晴らしかったのですが、参加者のテーブルに電源が無かったのがいただけませんでした。
そのせいか、周りを見渡してみてもノートPCを広げている人は数人。ノートPCの電池の持ちも良くなってきたとはいえ、2時間半を余裕で使える人はやっぱり少ないと思うのです。その前にどこかで作業していたりしてたらなおさらですね。そこが残念でした。

面白かったし、面白そう!

Google Maps APIってなんだか微妙に気分が乗らなくていじる気が起きなかったのだけど、これだけいろいろな話を聞いたらさすがにいじってみようかな?という気になってきました。
さて、何を作ろうかな?

Google Maps Hacks 第2版 ―地図検索サービスをもっと活用するテクニック

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関連メモ(このエントリを書くときに気になったページ集)