奥山清行「ビジョンが誘うライフスタイル」

前書き

14日に、日本SGI ソリューション・キュービック・フォーラム 2008というやつに行ってきました。目的はその中でやっている「Visualizationフォーラム」というやつの聴講。そのフォーラムの最後にある奥山清行氏の講演が一番聞きたい。NHKのプロフェッショナルで知ってからその厳しくも鋭い切れ味の発言にファンになっていたのです。

事前登録のみで無料ということで数日前に早速登録しておいて、おととい行ってきました。
どうもビジネスの素材を交換し合う場のようで、自分のような開発の人間は明らかに場違い。スーツ着てないのも数名でした・・。気にしないけど。
で、Visualizationフォーラムの部屋に入っていろいろ聞いていても、ホント面白くない話が多い。みんなつまらなさそうだし。クーラー利きすぎだし。あの部屋の温度を5度上げても問題なくて、地球温暖化対策として有効じゃないか、とかそんなことばかり考えてしまい、奥山氏の講演を待たずに帰って仕事しようかな、とか思っていましたが、粒子法の話が完全に理解できて楽しかったりして、なんとか最後までいることが出来ました。
そんな感じで待ち続けた奥山氏の講演、いやー、すばらしかった!!待った甲斐がありましたよ。

奥山氏の講演メモ

screenshot
ピニンファリーナ社での話から、去年はじめられた山形工房の話までをベースに、今考えていること、今までやってきたことから学んだこと、などを惜しげもなくリストアップしてくれる。そのスピードと迫力にうっとりしながらも気になる言葉をメモしておいたので、それを以下にリストアップ。

  • 価値づくりが大事
    • 狩猟型→農耕型
    • 「種を植えるのは誰?」→誰でもいいが誰かがやらなければいけない、と奥山氏は考えている。
      • という話を聞いていたら、Googleの80:20の仕組みを連想した
      • つまり、Googleの80:20システムは、種を植え続けている、ということ。
  • プリプロダクションのアートワークについて
    • 少ない予算(もしくはゼロ予算)でも作成
  • ブレインストーミング
  • 制作のうち、2/3がコミュニケーションである。
準備 1/3 ←コミュニケーション
制作 1/3
伝える(宣伝など) 1/3 ←コミュニケーション
  • よく「デザイナー vs エンジニア」という構図が生まれる、というが、ビジュアライゼーションの場は、そのプロジェクト(もしくはアイディア)が、はじめて視覚化される場所であり、人間は視覚化されることによりはじめて認識できることが多いので、議論が巻き起こる場であることは当然である。
    • 人間は視覚情報がほとんどである。
  • スケッチ→手による偶然性を呼び込む。スケッチとは理想の絵であり、現実の絵ではない(パスポートの写真を見せられても納得いかないことと同じ)
  • プロとアマチュア
    • マチュアのひらめきは強い。しかしそれは大抵1度だけのもの。
    • プロは毎回素案を10000個つくり、その中からいい物を選び出す仕組みを作る必要がある。100人に100回やらせるのかもしれないし、10000回の内訳も考えなければいけない。
  • DiversificationとConcentration
    • Diversification .. Architecture, Business, Automobile
    • Concentration .. Fine Art, Music
  • 目の前のクライアント、未来の顧客、自分、の三者
  • 山形工房の話
    • アイデンティティに日本文化を!
      • アメリカなどから見た日本(中国、韓国との違い)
    • 3年か6年かわからないがtemporaryなブランドである
    • 職人は知識労働
      • 工夫→どんどん良くなる
      • 「匠の技」はイタリア、日本にはあるが、アメリカ、中国には無い。
    • 総合コンセプターへのリターンは最低3年後
    • いい写真→いいビジュアルはいいね!写真1枚に1日かけた。
    • 間伐材ペレットのストーブ
  • ピンポイント開発を早期視覚化が助ける
  • 人/匠の技をいかせるものづくり
  • 経営者へ:ビジュアライゼーションがもたらす未来のビジネス判断
  • 未来の顧客へ:ビジュアライゼーションによる未だ見ぬ夢の提言
  • レストランでたとえるならば、『まずメニューを出す』ということが大事。
    • つまり、『客に「何が欲しいですか?」と聞かない』

仕事しながら、いろいろぼんやり考えていること、考えていたことなどに対して(間接的であるけれども)明確に答えを出してくれているので、とても参考になった。これらを踏まえてさらにあれこれ考えを進めよう。

フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

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プロフェッショナル 仕事の流儀 (7)

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一流の人の話を直接聞くことは、やはりすばらしい体験であった。
今後もこういう機会があれば労を惜しまないようにしよう。